僕が初めて手にした磯部さんの急須「宝生庵 鉄色」

僕が初めて手にした磯部さんの急須「宝生庵 鉄色」

細やかな穴が無数に開いた陶製茶こしである「細(ささめ)」は胴体と同じ素材でお茶の味わいを変えることなく楽しめます。

日本茶インストラクターを取得して間もなくの頃、当時扱っていた深蒸し茶やそれに類する細やかな茶葉のブレンドにも対応できる金属製網でない陶製の茶こしの急須は無いものか、と探していた時インターネット上で偶然この急須と出会いました。
2~3000円クラスの急須しか持っていなかった僕は当時価格で確か8000円くらいしたこの急須を清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入しました。

初めて触った手触りはシルクの様でとても軽く、ボディサイズの割に長めの取手にピッタリと合う蓋、後引きしない注ぎ口。

コレだ!と思いました。

それから十数年以上になるでしょうか、未だに現役のこの急須で日々お茶を淹れております。
割らない限り僕よりも長生きするでしょう。
そして現在、より日本茶の豊かな味わいを表現しやすくなった「平型急須」が。日本茶を最大限に楽しめ、日常的にも使い易い逸品です。
つぼみのロゴにも使用させていただくくらい、僕にとって思い入れの強い茶器となっています。

一から十までほぼオールハンドメイド、上手に使えば一生使える様なモノ、なかなか無いと思います。

月日は経って現在ではこのような品を扱わせていただいたり、制作現場を見せて貰えたりしている。こんな僥倖、想像もしていませんでした。

生まれた背景を知って、意識したのは「消費」ではなく「大切に使う」。
その感覚を忘れることなく、思い入れのある品々を扱っていこうと思います。

人気で品薄状態が続いている磯部さんの急須。
明日〜少量ではありますが店頭にてご覧いただけます。
全て一点ものとなるため販売後は見る機会がなくなってしまいます。
常滑最高齢の職人がつくる素晴らしい急須。ご興味あります方はぜひご来店下さいませ。